『百歳の森をつくる。』~西粟倉森の学校の挑戦

 

 

2015.11.23-30

2015.12.01-07

2015.12.08-14

2015.12.15-21

ワンコインとオーストリア

ーー こんにちは。

 

村田 こんにちは。

 

ーー 今日は音声レコーダーを持ってきまして、えー、最大22時間録音できるそうですから、、いくらでもお話しくださっても結構ですよ。

村田 (笑)

 

ーー ではまず西粟倉に来たきっかけから。村田さんの大学のころのお話から聞かせてくださいませんか? 

 

 

 

 村田 はい。わたしは大学で建築を学んでいました。学科以外に課外活動で田植えを手伝いにいったり、地域の森で遊ぶ活動をしてました。

 

ーー なんだかとても楽しそうな大学生活。

 

村田 はい(笑)。そんな大学生活のなかで、日本で建てられている木造建築のうち日本の木をつかっているのは20%以下だと言う話を聞きました。

 

ーー 20%。やっぱり低いんですねえ。

 

村田 建築を学び、森や川を楽しむ活動をしながら、「日本にはこんなに森がたくさんあるのになぜ日本の木は使われないんだろう?」という素朴な疑問からスタートしました。

 

 ーー 目の前に木があるのに不思議だと。 

 

村田 はい。それで大学4年になって住宅メーカーなどへの就職先を考えていたころ、ちょうどオーストリアの林業事例をエコハウスという勉強会で知りました。

 

ーー オーストリアって、あのウイーンのある?

 

村田:はい。そのオーストリア。アルプスの端に位置するので急傾斜の多い山岳森林を多くもつ国です。

 

 

 

ーー 音楽と深い森のイメージがあります。

 

村田 日本と同じくオーストリアも山と谷でできた国なので自然環境は良く似ています。だから木を切り出すにも日本と同じコストがかかっているはずなんです。

 

ーー はい。
 

村田 でも日本と違って、そこでは今も輸入材ではなく地元の木を使って家を建て、地元の木で必要に応じて家を修繕しします。さらに地元の木をチップ化して家庭で熱源利用しているそうです(注1)。

 

ーー すごくいいですね。

 

村田:だから、小さな村でも林業の仕事があるので若者も定住しやすい。効率的な木のローカル社会が出来ています。

 

ーー はい。

 

村田 さらに市民のガソリンなど化石燃料の出費を減らすために地域までスーパーを誘致し、無駄な生活費が抑えられた過疎になりにくい社会へと進化しています。

 

ーー すごい。

 

村田 それに感動してしまって、、。

 

ーー 感動! 

 

村田 はい。

 

 

ーー たしかにすごいですよね。では逆に日本はどういう状況なんですか?

 

村田 たとえば西粟倉をはじめ、小さな山村には高校も無いので若者が早くに家を出て行きます。

 

ーー はい。

 

村田 そして、大人になっても林業など地元で仕事も少ないので戻って来れるサイクルが無いんです。その結果、村にのこった林のオーナーはほとんどが高齢者になってしまっています。

 

ーー ここは林業がメインの産業ですしね。

 

村田 はい。それに今は市場の木材価格が安すぎて、コスト面が折り合わないのでだれも木を切りだせないんです。

 

ーー そうなんですか。

 

村田 だから間伐(かんばつ)などの森の管理も大変ですので販売利益の無い中では管理が行き届かずいい木が育ちにくい。

 

ーー はい

 

村田 そのせいでさらに建材としての価値が下がる。木の単価が安くなってしまうと、さらに切り出せなくなる。このように村の主たる産業で収入を得にくいので若者が村に戻ってこられない。

つまり、日本の多くの森林地域にはこういう悪循環があります。

 

 ーー 木材が安いってどのくらいですか?

 

村田 たとえば50年齢のヒノキ(注2)で、一本が1000円、2000円とか

 

ーー つまりヒノキの木を管理しても一本あたり年間数十円、、。

 

村田 はい。スギの木などもっと安くて、細いものでは500円以下のものさえあります。ワンコインです。

 

ーー 50年でワンコイン。なんだか言葉を失いますね。

 

村田 実際は立方メートル単位(立米=りゅうべい)で販売されますので一本あたりは乾燥条件などでまちまちなんですが、いずれにしても加工前の丸太は驚くくらいの低価格となってしまっています。

 

ーー だから木が目の前にあるのに、日本で林業で食べていくのは難しいと。

 

村田 はい。オーストリアの事例を学んだのをきっかけに、わたしは日本の林業の会社を調べていきました。

 

ーー はい。

 

村田 それで「今の日本の悪循環をのり超えた進化型の森林社会がつくれないだろうか?」とおもいました。「オーストリアの効率的な取り組みが同じ山岳地域をもつ日本で行えないだろうか?」、「目の前に育っている日本の木で家を建てたい」。こう考えて地域を探して出会ったのが新たな挑戦をつづけている西粟倉村だったんです。

 

ーー それでここを選んだ?

 

村田 はい。ここしかないと思いました。

 

ーー 他に候補はなかったんですか?

 

村田 なかったです。

 

ーー (笑)。そこまで惚れて就職できたらお互い幸せです

 

 

(注1) 現在、西粟倉村は木材を熱源として活用していく仕組みがすでに稼動してます。村楽エナジー株式会社:http://www.sonraku-energy.com/

(注2) 国内最高級材。日本書紀に「ヒノキは宮殿に。」とあるように法隆寺など神社仏閣に利用され、高い耐久性をもった木材として古い時代から知られる。

 

株式会社 西粟倉・森の学校

 

 

 

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